枚方は本当に微妙な都市であった。今ではもっと微妙な都市となっている。
 くらわんか花火大会は無くなり、枚方祭りは小規模化し、菊人形も今年で終わった。
 枚方を有名にする物と言えば殺人事件や事故、その他諸々の事件。どちらにしても良い事なんて無かった。

 ここで語られている事もそんなに良い事ではない。微妙な都市に相応しい出来事だ。

 ヒラリヨンの鐘の下に眠るもの、もう一つのこの街の姿。そんなもの誰も知らないし知った事ではない。

「本当はどうでも良い、どうだって良い。だって情報なんてテレビやネットが全部教えてくれるだろう?」

「あいつはそういって笑ったが、残念ながら現実の常識では理解できないことが沢山ある事を僕は残念ながら示す事になってしまった。それがあるから現実は面白い。」

 ここは枚方。大阪で一番微妙な市。

 青い機神を生み出した男はごくごく普通の公立校に務める教員だ。本当に普通で、本当に目立たないそんな男を目指していた。

「先生が普通?誰がそんな事思うのです?」

 生徒に笑って言われるその男は残念な事に市内の教員関係者で知らなければモグリだと言われる程の“有名人”であった。とうていそんな物は“普通の人間”ではない。でも、そんな事はその男の持つ能力に比べたらごくごく普通の事だ。

 微妙な都市に住み、微妙な都市で働くその男は微妙な存在にすらなれない。その結果男は普通である事を諦めて都市の平和を目指そうとする。自らが普通でなければ普通で無い事をすればいい。普通である事を拒絶するのなら、とんでもないものになればいい。
 それが護神機計画。自分が普通でないがために“狙われてしまう現実”と“危機にさらされる周囲”を守るがために作られた本人の独善が都市の願望と化すとんでもない計画。

 微妙な都市から生まれたある意味で“微妙”な男はとんでもない物語を作る事になる。

 これは微妙な都市のもう一つの物語。

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