ヒラリヨン〜プレリュード 第二章02
2005年12月15日「富雄先生。すみませんが、今回の戦闘データを解析して頂けますか。あれを越える障壁を作らないといけませんからね。」
博司は格納庫の中で四人の部下…腹心にして、弟子にして同じ方向の分野を追求する講師達に指示を出す。様々な思惑があって博司に従っているのだがその事を言及するにはシオンとことはには鍵が足らない。ただ、呆然とするまもなくシオンとことはには別の指示が博司から下されるのであったが。
「君たち二人は次に呼び出すまでは普段通りの学生生活を送る事。何かあったらメール送りますからこの事は他言無用。良いですね。」
博司からにっこりやんわりと言われたらその裏にある物を感じ取って大人しく従うのが普通の学生、博司からにっこりやんわり言われて、その事を楽しむのは良く訓練されたゼミ生とか言う噂もあるくらいに博司の言動はまともな振りをして無茶苦茶である。
「教授が普通学生をロボットに乗せて戦わせるな。どこのロボット漫画の話だ。」
「残念ながら君には現実と戦って頂かなくてはいけません。でないと単位が無くなりますからね。一・二回生は私の“必修授業”がありますからね。逃げても無駄ですよ。」
と、強烈なアカハラをにっこり笑って簡単に表現されたら抵抗もあったもんじゃない。シオンとことはは諦めの表情だ。
「相変わらず鬼ですね。いい加減にしないと学生に訴えられますよ。」
「それは無理だよシオン。単位を楯に取られてロボットに乗せられて枚方の河川敷上空で戦ってましたなんて誰が信じるのさ。男女関係迫られるならともかく説得力がない。」
「ことはさん、貴方の方が無茶苦茶言ってますよ。生憎ですが私は学生に手を出す程困ってませんから。」
学内では独身の変人として有名な博司の言動にシオンとことははツッコミを心の中で入れた。しかし、そのツッコミは永遠に博司に届く事はないのだろう。
文月とホツマは地下格納庫から地上に出て…駅前のファーストフードでお茶を飲んでいた。何故か青い機神の格納庫から外に出ると枚方市駅駅前スーパーのトイレに繋がっていたからだ。
「ここは枚方の中だったら何処でだって繋げられるし、何処へでも繋がる。出口を一箇所に固定しておくと不便やからね。」
入れる人間は限られるからと呟き、文月はホツマに一つの宝石を手渡した。これが例の格納庫への鍵となるのだろう。その後事情説明のために文月はファーストフード店にホツマを案内した。最初はカラオケ屋に行くつもりであったが混雑していたために取りやめたのだ。
「しばらくは彼らは攻めてこーへん。来んのは対策を練って強力な障壁を作り出した後やろう。だから今後の事も考えると色々説明した方がええやろな。」
そう言いながらハンバーガーのセットに手をつける文月。おやつ代わりというのだが、ホツマはさすがに食事の事を考えてシェイクだけを頼んでいる。男でも甘い物が好きなのだからしょうがない。
「こんな所で話しても大丈夫なんですか?」
「こんな所やからや。耳にしたところでゲームや漫画の話にしか聞こえん。」
ばっさりと切って捨てる。最も、学校帰りの生徒やなんかでにぎやかな店内では男二人組の一見マニアックな会話は相手にされないだろう。
「とりあえず僕らの乗ったあの青い奴も、向こうさんの赤い奴と黒い4体。今のところはまだ完全やない。あっちは僕が出てくる事を考えてなかったし、こっちはああいう機神を作るコツを知らへんからな。」
「質問ですけど、向こうは5体も機神?とやらをだしてきてるんですよね。あちらは貴方のような能力者が5人もいるんですか?」
文月は首を横に振った。
「能力者はおるが、僕と張り合えるのはあの赤い機神の男だけや。後は機神を作るだけの力はあるけど、結局あの黒い機神は青い機神に比べると力は落ちる。だから4体がかりや。」
ホツマは文月のことばに納得した。青い機神が圧倒したのには作り手の能力の差があったからという事にやっと辿り着いたからだ。
「とはいえ、赤い機神が現れたらこっちが不利や。もし向こうが本気になったらかなり厄介や。」
舌打ちしながらもハンバーガーを頬張る文月にホツマは苦笑を浮かべた。
ただ、この一時はほんの一瞬の平和にしか過ぎなかったのだ。
続く
博司は格納庫の中で四人の部下…腹心にして、弟子にして同じ方向の分野を追求する講師達に指示を出す。様々な思惑があって博司に従っているのだがその事を言及するにはシオンとことはには鍵が足らない。ただ、呆然とするまもなくシオンとことはには別の指示が博司から下されるのであったが。
「君たち二人は次に呼び出すまでは普段通りの学生生活を送る事。何かあったらメール送りますからこの事は他言無用。良いですね。」
博司からにっこりやんわりと言われたらその裏にある物を感じ取って大人しく従うのが普通の学生、博司からにっこりやんわり言われて、その事を楽しむのは良く訓練されたゼミ生とか言う噂もあるくらいに博司の言動はまともな振りをして無茶苦茶である。
「教授が普通学生をロボットに乗せて戦わせるな。どこのロボット漫画の話だ。」
「残念ながら君には現実と戦って頂かなくてはいけません。でないと単位が無くなりますからね。一・二回生は私の“必修授業”がありますからね。逃げても無駄ですよ。」
と、強烈なアカハラをにっこり笑って簡単に表現されたら抵抗もあったもんじゃない。シオンとことはは諦めの表情だ。
「相変わらず鬼ですね。いい加減にしないと学生に訴えられますよ。」
「それは無理だよシオン。単位を楯に取られてロボットに乗せられて枚方の河川敷上空で戦ってましたなんて誰が信じるのさ。男女関係迫られるならともかく説得力がない。」
「ことはさん、貴方の方が無茶苦茶言ってますよ。生憎ですが私は学生に手を出す程困ってませんから。」
学内では独身の変人として有名な博司の言動にシオンとことははツッコミを心の中で入れた。しかし、そのツッコミは永遠に博司に届く事はないのだろう。
文月とホツマは地下格納庫から地上に出て…駅前のファーストフードでお茶を飲んでいた。何故か青い機神の格納庫から外に出ると枚方市駅駅前スーパーのトイレに繋がっていたからだ。
「ここは枚方の中だったら何処でだって繋げられるし、何処へでも繋がる。出口を一箇所に固定しておくと不便やからね。」
入れる人間は限られるからと呟き、文月はホツマに一つの宝石を手渡した。これが例の格納庫への鍵となるのだろう。その後事情説明のために文月はファーストフード店にホツマを案内した。最初はカラオケ屋に行くつもりであったが混雑していたために取りやめたのだ。
「しばらくは彼らは攻めてこーへん。来んのは対策を練って強力な障壁を作り出した後やろう。だから今後の事も考えると色々説明した方がええやろな。」
そう言いながらハンバーガーのセットに手をつける文月。おやつ代わりというのだが、ホツマはさすがに食事の事を考えてシェイクだけを頼んでいる。男でも甘い物が好きなのだからしょうがない。
「こんな所で話しても大丈夫なんですか?」
「こんな所やからや。耳にしたところでゲームや漫画の話にしか聞こえん。」
ばっさりと切って捨てる。最も、学校帰りの生徒やなんかでにぎやかな店内では男二人組の一見マニアックな会話は相手にされないだろう。
「とりあえず僕らの乗ったあの青い奴も、向こうさんの赤い奴と黒い4体。今のところはまだ完全やない。あっちは僕が出てくる事を考えてなかったし、こっちはああいう機神を作るコツを知らへんからな。」
「質問ですけど、向こうは5体も機神?とやらをだしてきてるんですよね。あちらは貴方のような能力者が5人もいるんですか?」
文月は首を横に振った。
「能力者はおるが、僕と張り合えるのはあの赤い機神の男だけや。後は機神を作るだけの力はあるけど、結局あの黒い機神は青い機神に比べると力は落ちる。だから4体がかりや。」
ホツマは文月のことばに納得した。青い機神が圧倒したのには作り手の能力の差があったからという事にやっと辿り着いたからだ。
「とはいえ、赤い機神が現れたらこっちが不利や。もし向こうが本気になったらかなり厄介や。」
舌打ちしながらもハンバーガーを頬張る文月にホツマは苦笑を浮かべた。
ただ、この一時はほんの一瞬の平和にしか過ぎなかったのだ。
続く
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