ヒラリヨン〜プレリュード 第三章02
2006年2月14日 シオンとことはの二人は博司の特別講義を受けていた。あまりの詰め込み授業にたっぷりと吐き出される二人の溜息。それは機神の操縦者として“拉致”られていなければ到底理解不能以前に良くてカウンセリングルームか精神病棟に連れ込まれるくらい非現実的な物だったのは二人の様子からも明らかだ。
「本当、巨大ロボットに乗ってなかったら信じられなかったと思います。なんですか?このゲームのような展開は。」
「シオンさん、正気を取り戻して下さいな。枚方に住んでいたらあの伝説の音楽教師の噂くらい聞くでしょう。私はあれが噂じゃなかったと知ってるし楽しんでるんですから。ゲームよりも楽しい現実が再びなんだもん。」
ことはの言葉に博司は一瞬目を瞠らせたが、やがて納得がいったかのように一人頷いていた。
「そうか、そりゃ驚かんな。北河内の能力者は能力者としてちょっと表に出すぎてるからな。そこの住民ならこんな事には慣れててもおかしくない。」
「いや、おかしいから。ことはちゃんは頭ネジ飛んでるからゲームも現実も殆ど区別つけてへんけど、枚方の話はそもそも噂であって現実とは誰も思ってへんから。」
シオンが首を全力で左右に振り、強烈に否定をアピールする。ことはのおかげで博司に対し、危うく枚方市民=超現実主義の異常者集団という定義付けをさせられそうになったのだから当然の事であろう。
「だから、誤解を招くような事言わないでよことはちゃん。ただでさえあの町は中途半端な都市として誤解されがちなんやから。」
「うーん、そういえば、シオンは中学違ったっけ?枚方の伝説と中学生活で直視してるから私の感覚は麻痺してるみたい。ごめんね。」
ことはの言葉にシオンは口を開き思わず声を漏らしていた。
「忘れてた。あんたがけったいに思えるくらい異常に鈍感な理由。」
「だから私は田原本先生に協力する動機が沢山あるんだよ。先生の本当の企みは世界征服よりももっと面白い事だからね。」
ことはが博司をまじまじと見つめる。そして、博司は大声で笑っていた。自分の考えが正しい事に気付いたのだ。
「だからわしはあの男とも、東の魔法使い達との戦いにも君らを招いたんだ。君たちはわしの最高の教え子になりそうやからな。」
その翌日、博司らの授業の空き時間を狙い、赤い機神と4体の黒い機神は枚方の上空に現れていた。
ホツマと文月(あやつき)は青い機神に乗り込み博司達の乗る赤い機神の待ち受ける枚方市駅の上空300mの所に飛び込んでいた。その時文月とホツマは青い機神に乗りながら異変に気付いていた。
「斉藤さん・・・なんか障壁が無茶苦茶大きくなってません?」
「ここまでとうとう辿り着いてしまったか。」
青い機神のモニターの端に現れる博司達の顔。
「今回は戦場を広げておきましたから、思う存分戦えますね。」
平然と微笑みかける博司に文月は無表情で答える。
「そろそろ決着をつけましょうか。私と貴方の意志のね。」
青い機神と赤い機神がぶつかり合う中で、数人の影が枚方にとけ込んでいく。そして4体の黒い機神も又姿を消していた。
多方面同時進行の戦いが始まっていた。
続く
「本当、巨大ロボットに乗ってなかったら信じられなかったと思います。なんですか?このゲームのような展開は。」
「シオンさん、正気を取り戻して下さいな。枚方に住んでいたらあの伝説の音楽教師の噂くらい聞くでしょう。私はあれが噂じゃなかったと知ってるし楽しんでるんですから。ゲームよりも楽しい現実が再びなんだもん。」
ことはの言葉に博司は一瞬目を瞠らせたが、やがて納得がいったかのように一人頷いていた。
「そうか、そりゃ驚かんな。北河内の能力者は能力者としてちょっと表に出すぎてるからな。そこの住民ならこんな事には慣れててもおかしくない。」
「いや、おかしいから。ことはちゃんは頭ネジ飛んでるからゲームも現実も殆ど区別つけてへんけど、枚方の話はそもそも噂であって現実とは誰も思ってへんから。」
シオンが首を全力で左右に振り、強烈に否定をアピールする。ことはのおかげで博司に対し、危うく枚方市民=超現実主義の異常者集団という定義付けをさせられそうになったのだから当然の事であろう。
「だから、誤解を招くような事言わないでよことはちゃん。ただでさえあの町は中途半端な都市として誤解されがちなんやから。」
「うーん、そういえば、シオンは中学違ったっけ?枚方の伝説と中学生活で直視してるから私の感覚は麻痺してるみたい。ごめんね。」
ことはの言葉にシオンは口を開き思わず声を漏らしていた。
「忘れてた。あんたがけったいに思えるくらい異常に鈍感な理由。」
「だから私は田原本先生に協力する動機が沢山あるんだよ。先生の本当の企みは世界征服よりももっと面白い事だからね。」
ことはが博司をまじまじと見つめる。そして、博司は大声で笑っていた。自分の考えが正しい事に気付いたのだ。
「だからわしはあの男とも、東の魔法使い達との戦いにも君らを招いたんだ。君たちはわしの最高の教え子になりそうやからな。」
その翌日、博司らの授業の空き時間を狙い、赤い機神と4体の黒い機神は枚方の上空に現れていた。
ホツマと文月(あやつき)は青い機神に乗り込み博司達の乗る赤い機神の待ち受ける枚方市駅の上空300mの所に飛び込んでいた。その時文月とホツマは青い機神に乗りながら異変に気付いていた。
「斉藤さん・・・なんか障壁が無茶苦茶大きくなってません?」
「ここまでとうとう辿り着いてしまったか。」
青い機神のモニターの端に現れる博司達の顔。
「今回は戦場を広げておきましたから、思う存分戦えますね。」
平然と微笑みかける博司に文月は無表情で答える。
「そろそろ決着をつけましょうか。私と貴方の意志のね。」
青い機神と赤い機神がぶつかり合う中で、数人の影が枚方にとけ込んでいく。そして4体の黒い機神も又姿を消していた。
多方面同時進行の戦いが始まっていた。
続く
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