ヒラリヨンプレリュード 第三章03
2006年3月14日 枚方の街並みを幾人の人々が駆けめぐる。何かを探す者とその者を捕らえようとする者。彼らの姿は人々の目から見えない。河川敷から主要駅に向かい、誰の記憶にも残らない戦いが始まっていた。
「うひゃああああ。」
ホツマが絶叫する。枚方の上空を完全に覆った障壁は、機神による戦場を拡大させていた。政令指定都市どころか中核都市にすら人口はおろか市の面積は満たしていないわけだが、それでも大阪では広く、人口も上位に当たるこの都市は機神が駆けめぐるに相応しいフィールドであった。
大剣を両手で構えた青い機神が赤い機神を追う。赤い機神は素早い動きで青い機神を翻弄し、両手の剣が青い機神の隙を狙って振るわれる。
その結果青い機神の中で文月(あやつき)は額に汗を浮かべながら操縦していたし、その前の座席でホツマは絶叫して時折意識を飛ばしていた。
その惨状は赤い機神でも繰り広げられていた。ことはは三半規管をどこかに放置したらしく、人間離れした機神の動きにも耐えていた。しかし、シオンは顔面を真っ青にし、博司に介抱される有様であった。
「アニメみたいに上手くいかない物ね・・・気持ち悪い・・・。」
「頼むから吐くな。ことはさんも少しは操縦抑えてくれ。」
「それが出来れば苦労しないわ。本気でかからないとこっちがやられそうだし。」
しばらくして2体の機神は互いに距離を保ち、青い機神はライフルを、赤い機神はマシンガン状の武器を剣の代わりに出した。
「ああ、向こうも同じ状態なってるんやね…良かった、渡会君がひっくり返ってもうたからな。」
飛び道具を構え、睨み合う2体の機神。当然中では機神の激しい動きについて来れなかった人々が悶絶しているわけで、この状況は当然の結果であった。
「捜し物か?東の魔法使い達。」
駅の反対側へと向かう数人の男女の前に立ち塞がる4人の人影。枚方の駅前にある商業施設隣の公園を戦場に選び、彼らは立ち止まっていた。
「お前達が何故北河内の人間の味方をする。」
「大阪を守るのに北河内も中河内も無い。あんたらのやろうとしとる事考えたら見て見ぬフリはできん。」
公園に居た何処にでも居るような人々の手に杖が握られる。それに対峙しているのは博司の腹心として黒い機神に乗り込んでいた、4人の講師。
「北河内の守護を揺るがすような真似はさせない!」
4人の“言葉”が公園に居る人々を吹き飛ばす。
関係者以外“誰もいない”公園とその周囲。それは、全てこの下らない戦いから普通の市民からそらすための事象に過ぎない。
彼らは機神と同じ別の空間に囲まれていたのであった。
赤い機神の中でシオンの介抱をする博司の目に、モニターの片隅にうつる公園の戦闘が飛び込んだ。そのすぐ後に自分の信頼する部下の言葉が耳に入る。
「先生、例の連中と接触しました。」
「やはり動き出したか。」
博司が呟く。その事は文月も知っている事であった。
「こんなものを囮に使って、別の存在をあぶり出していたんですね。」
「ここまでしないと尻尾を出さないからな。何しろ派手に動かれて枚方が吹っ飛んでは意味無くなるからな。」
青い機神の中で、文月はホツマと共に枚方の片隅で行われている戦闘を見守っていた。
続く
「うひゃああああ。」
ホツマが絶叫する。枚方の上空を完全に覆った障壁は、機神による戦場を拡大させていた。政令指定都市どころか中核都市にすら人口はおろか市の面積は満たしていないわけだが、それでも大阪では広く、人口も上位に当たるこの都市は機神が駆けめぐるに相応しいフィールドであった。
大剣を両手で構えた青い機神が赤い機神を追う。赤い機神は素早い動きで青い機神を翻弄し、両手の剣が青い機神の隙を狙って振るわれる。
その結果青い機神の中で文月(あやつき)は額に汗を浮かべながら操縦していたし、その前の座席でホツマは絶叫して時折意識を飛ばしていた。
その惨状は赤い機神でも繰り広げられていた。ことはは三半規管をどこかに放置したらしく、人間離れした機神の動きにも耐えていた。しかし、シオンは顔面を真っ青にし、博司に介抱される有様であった。
「アニメみたいに上手くいかない物ね・・・気持ち悪い・・・。」
「頼むから吐くな。ことはさんも少しは操縦抑えてくれ。」
「それが出来れば苦労しないわ。本気でかからないとこっちがやられそうだし。」
しばらくして2体の機神は互いに距離を保ち、青い機神はライフルを、赤い機神はマシンガン状の武器を剣の代わりに出した。
「ああ、向こうも同じ状態なってるんやね…良かった、渡会君がひっくり返ってもうたからな。」
飛び道具を構え、睨み合う2体の機神。当然中では機神の激しい動きについて来れなかった人々が悶絶しているわけで、この状況は当然の結果であった。
「捜し物か?東の魔法使い達。」
駅の反対側へと向かう数人の男女の前に立ち塞がる4人の人影。枚方の駅前にある商業施設隣の公園を戦場に選び、彼らは立ち止まっていた。
「お前達が何故北河内の人間の味方をする。」
「大阪を守るのに北河内も中河内も無い。あんたらのやろうとしとる事考えたら見て見ぬフリはできん。」
公園に居た何処にでも居るような人々の手に杖が握られる。それに対峙しているのは博司の腹心として黒い機神に乗り込んでいた、4人の講師。
「北河内の守護を揺るがすような真似はさせない!」
4人の“言葉”が公園に居る人々を吹き飛ばす。
関係者以外“誰もいない”公園とその周囲。それは、全てこの下らない戦いから普通の市民からそらすための事象に過ぎない。
彼らは機神と同じ別の空間に囲まれていたのであった。
赤い機神の中でシオンの介抱をする博司の目に、モニターの片隅にうつる公園の戦闘が飛び込んだ。そのすぐ後に自分の信頼する部下の言葉が耳に入る。
「先生、例の連中と接触しました。」
「やはり動き出したか。」
博司が呟く。その事は文月も知っている事であった。
「こんなものを囮に使って、別の存在をあぶり出していたんですね。」
「ここまでしないと尻尾を出さないからな。何しろ派手に動かれて枚方が吹っ飛んでは意味無くなるからな。」
青い機神の中で、文月はホツマと共に枚方の片隅で行われている戦闘を見守っていた。
続く
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